雨を呼ぶ一角 夢見魚のシンクのご紹介。*

こんばんは。
本日は多くの場所でイベントが開かれていたようですね。
ネイアニやアイドール他、ハンドメイドイベントもあったようです。
私はここのところずっと缶詰だったので、
そろそろ外の匂いが恋しいところですが、今夜は雨ですね。
皆様ご自愛くださいね。


さて、本日ご紹介するのはリッティベアさまへ送った
新作おしりドールのひとりになります。
全体的に個性強く、分かりやすい特徴を出した子らなので
ほんの少しだけプレミアムなおしりちゃんです。
お迎えができるようになるには少し先ですが、
ご紹介だけは先にさせていただこうかなあと思います。

★水たまりの世界に住む一角を持つ夢見魚 シンク★

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人魚を作るのはヤン以来と比較的間が空きましたが、
羊毛フェルトを使うのはもっともっと間が空いて
ステラ、ナーラ、ニーヴェ以来かもしれません。
半年以上は使っていなかったこととなります。

人魚の尾びれはいつも樹脂で作るのですが
今回はソフトチュールで作ることを思いついたので
取り入れてみました。
柔らかくてガーリーな雰囲気がでました。

シンクは雨を呼ぶ一角を持った人魚です。
好奇心が強く人恋しさを持った無口な子です。
散歩途中で不意に出会った、さみしい子犬のような
ついていきたくてもできないような…。


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彼女は水たまりの世界にすむ人魚で、
地面に張り付けられた額縁のような水たまりを通って
あちらの世界から私たちの世界へやってきます。
水たまりはただの入口なのではなく、
その切り取られた範囲だけが彼女のいられる世界…
葉に開いた穴のような、点々とした世界を行き来します。
彼女の世界はすごく狭いのです。


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人魚タイプの子は背がとても高くなります。
彼女は尾びれまで入れると20cmにもなりますが、
下半身を曲げることができるので意外と気になりません。
尾びれのひらひらの先までを入れたサイズでもあるので。

自立はしませんが、人魚タイプ特有の
アンニュイでメランコリックな美しさがあるので
おしりちゃんの中では特に大人の雰囲気があります。


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最近ソフトチュールを襟に使うことが多くなりました。
ざくざく縫って仕立てているだけなのですが、
お色の合わせ方で十二分遊べるので
モチーフレースよりも好きかもしれないです。
いずれはこちらに寄せていこうかなとも思います。

角は少し太めで短めですが、柔らかい雰囲気の子なので
かえって良かったかもしれません。
シルバーに少しだけ白を重ねて複雑な色にしました。
でもよくわからないかも。


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ほんの少しだけ下半身を曲げているのですが
お分かりになりますか?
前後左右、自由に曲げていただけるので
足がない分、表情が乏しいと思われますが
人魚は人魚ならではの稼働が楽しいです。

下半身についているビーズは
白地にオーロラ加工のあるものなので
夢みたいにゆらめいて、また綺麗です。


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★シンクのちいさなおはなし★

シンクは雨上がりの地に点々と広がる水たまりができあがると、
その額縁のように切り取られた刹那の湖の中から
私たちを覗き込むように現れます。
虹のような美しい体をもち、雨を呼ぶといわれる
一角を持つ不思議な人魚は、現れたかと思えば消えてしまい、
なかなか彼女の姿を見ることは簡単ではありません。

それというのは、水たまりが消えるまでの間しか
シンクの世界とこちらの世界を結ぶ扉は開かれず、
その儚い時間の中でしか、シンクはこちらの世界を
楽しむことができないからなのでした。

好奇心が強いシンクは、水たまりの世界から
人間の姿を見かけると、トビウオのように
水たまりから水たまりへ飛び跳ねて移り進み、
私たちに気付かれないようにこっそりとついてくるのです。
幸運にもその姿を目撃した者は、虹のしぶきをあげて移り飛んでいく姿を
「水たまりの中の夢見魚(ゆめみうお)」と呼びました。

時々、晴れた日によぎる通り雨に見舞われることがありますが、
それはシンクが雨を呼び、水たまりをわざと作って
道しるべを作っているからだと聞きます。
また不慣れなこの世界での息が続くまで見染めた人間の姿を見送ると、
シンクは恋しく思う胸を押さえて、還らねばならないのでした。

空を映して無限に広がると思わせる水たまりの世界は、
広大に見えて窮屈な世界でした。
また四季の移り変わり美しく、そのめぐる季節の中で
笑ったり泣いたりする人の姿を、
写し鏡のように反映するだけの水たまりの世界は、
シンクにとっては偽物にも感じられましたが、
時々シンクに気付いて水たまりを覗き込む人間がいる限り、
シンクはさみしくないのでした。

雨が上がって虹の出る日は、
水たまりの中を覗き込んでごらんなさい。
いたずらっぽくはにかんだ夢見魚のシンクが、
あなたに会いに来ることでしょう。

***

いかがでしたか?
シンクのおはなしは、どちらかというと
回想によってより色濃く装飾されてしまった
絵画のように美しく、幻想的で
忘れえぬ思い出の情景を主にしています。
その情景の中に現れる人ならざる者こそ
彼女であると考えました。

私が夢の中に迷い込んだと強く錯覚した湖畔や
水辺のある公園なんかは、ただその場所だけで
完成された美しさがあることは確かですが、
何かその時に抱えていた自己陶酔的な苦しみや
悲しみのフィルターによって、より切なく加筆され
私の思い出としてしみついてしまいました。
圧倒的な自然の芸術にくるまれた時、
その様子をどんな言葉をもってしても描き切れず、
どうにもやり切れないもどかしさが、
よりその情景を強調するように思います。

そういったイメージこそが彼女であり、
イメージで作り上げられた世界にも、彼女はいます。
シンクの物語と限定して指し示すより
人それぞれの狂おしく美しい思い出が、
彼女の象徴であると考えたほうがいいかもしれません。

彼女についてはこの裏話ありきで成り立つ気がしていますが、
それはこれを読んでくださったあなたと共有する
小さな秘密としてしまっておくのもいいかもしれません。

ちなみにSinkは沈む、という意味。
トビウオのように、と表現しましたがイメージは蝶でした。
蝶の別名を、夢見鳥というそうです。
トビウオ×夢見鳥で夢見魚。
また、逃げ水、という言葉があります。蜃気楼の一種です。
蜃気楼は、中国では蜃という名前の妖怪が
関係しているといわれていました。
shin、水たまりの底、沈む、Sink…
今回は名づけに悩んでこんな感じです。

彼女を作る中で詠んだ短歌があります。
詠んだことなどほぼないのでアレですが、
お話に組むこともなくなったのでここで紹介して
昇華することとします。

水鏡 乱す涙のぬくもりを 真と感ず幻の中でも

それではまた。

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