ネクロマンス2*病死した美しい患者 ドーラのご紹介。*

本日は先日公開したヴァニタスヴァンパイアの
ひとり、ドーラのご紹介になります★
ドーラとかかわりのあるキーファの記事は
こちらになりますので掲載しておきますね♪*

ネクロマンス*矛盾の名医 キーファのご紹介。*

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★病死した美しい患者 ドーラ★

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耳が欠け、お顔が朽ちて骨が見えてしまっている
明らかに生者ではない彼女はドーラです。
口元から覗く牙はまさしくヴァンパイアの証ですが、
なぜか彼女は肉体は永遠に保てないようです。

変わってしまった己の姿に驚き
朽ちていく体に恐れおののいているような…


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彼女の表情は苦悩に満ちていて
悲しんでいるのか苦しんでいるのか…
すがるような瞳が印象的な子です。

ウェーブした毛並み、露骨に青白い肌が
ドーラをより魅力的に、不気味に仕立てています。
キーファは青にアイボリーの肌でしたが
彼女はグリーンをベースにして、
やや緑みを強く残した肌の仕立てになっています。
メイクはブルー×グリーンのアイシャドウに
ライラックのアイライン、
黒とグリーンのクマ(汚し)が入っています。
ごく薄くグレーで眉が入っているのですが
肌が白いと色飛びしちゃいますね。

お耳は結構大胆になくなっていて、
レジンで断面をつやつやさせているので
ちょっと生っぽさがあります。


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おしりはお顔と比べて少し血色よさげ。
うっ血しているだけだったりするかもしれませんが…
彼女はもう生きてはいないので…

なんといっても彼女は毛並みがかわいくて
かなり毛足の長いフェイクファーを使っているので
ニュアンスがすごくつけやすく楽しいです。
逆毛を立てるように毛を立たせると、
不思議な力で毛並みが揺蕩っているみたい…


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ヘッドドレスには熟れたフルーツが。
ぶどうとりんご、レモンが飾ってあります。
左耳の根元に固定になっているので取り外せませんが、
黒チュールがまるで彼女を花嫁みたいに見せています。

ドーラもまたヴァニタスをモチーフに作られたのですが、
ここでいうフルーツは<老い>や<衰退>…
やがて腐ってしまう虚しさを表しています。
彼女自身が若く美しい存在でしたが、
半分顔が腐敗し頭蓋骨が見えてしまっている状態もまた、
<老い>や<死の確実性>を意味していたりします。

個人的に彼女の頭蓋骨が気に入っていて、
ちゃんと牙の位置とか頬骨の感じとかが
お顔の作りに沿っていたりするので、
そういう部分も楽しんでもらえたらいいなと思っています。


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★ドーラのちいさなおはなし★

聖なる月の光が満ちる夜は、誰もが影踏みを楽しんで
羽目を外すことが許されています。
こんな美しく特別な夜なのに
誰一人外へ繰り出すものはいませんでした。
それというのも物騒な噂が原因で、
ばかばかしくも奇病が蔓延しているというのです。
信憑性はさておき、事実、おかしな傷と貧血を患い
名医に掛かるも死亡する人が相次いでいて、
今夜もおてんばなドーラは外出禁止でした。

薄靄のかかる町を眺めていたドーラは、
月を背にして手招きする姿を見ました。
向かいの家の屋根に腰かけてドーラを優しく影踏みへ誘うので、
遊びたい盛りの彼女は気が付けば窓から外へ抜け出していました。
冷たい瞳の青年は微笑んだ後でドーラをふいに抱き寄せ、
爪で触れたあたたかい肌に目を閉じて首筋に咬みつきました。
冷たく細い牙が彼女を貫きます。
驚いたドーラの抵抗虚しく世界は暗転し、
彼女は意識を失ったのです。


慌ただしく白い廊下を担架が駆けます。
ドーラの到着を恐れていたのか青い瞳を見開いて、
町の名医がドーラに輸血を施し必死に声をかけているようです。
ドーラはその青い瞳に夜の出来事を託そうとするも
叶うことはありませんでした。


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ドーラは手厚く葬られたその永遠の褥の中で目覚めました。
狭く暗い墓の中で抗いようのない絶望を嘆いていると、
突然棺が開け放たれて覚えのある腕に抱きすくめられました。
現れた冷えた青い瞳の麗人は、まさにあの夜自分を死に誘い、
また白い病室で自分を救おうとした矛盾の名医だったのです。

今宵もまた満月が二人を照らしました。
狂気の瞳は幸か不幸かこの光によって宥められ、
二人は悲しい不完全な魔物であることを悟りました。
驚きに潤む瞳に唇を寄せて、
ドーラは朽ちる体の痛みを訴えました。

「お医者様、私を助けて」

か細く絞りだした声に青年が小さく頷いた時から、
つぎはぎだらけの二人の奇妙な愛が始まったのです。

***

いかがでしたか?

彼女はその好奇心の強さから、
不幸にも生を手放すこととなる上に
不完全なヴァンパイアとして永遠に生きることを
余儀なくされることとなりました。
ばかばかしい噂を確かめるすべは少なく、
確かめたところで防ぎようのないこの事件が
彼女を襲うことはもはや運命だったかもしれません。

ドーラはあの事件の夜、月光の下で自由へ誘う彼に
襲われることとなりましたが、
瀕死に至った彼女を救おうとした存在が
まさか同一人物であるだなんてだれか想像したでしょうか。
キーファの姿への驚きと助けを乞う気持ち、
不思議な力を持つ冷たい美しい瞳に惹かれる気持ち、
混乱の中で彼女はキーファに強い想いを抱くことになりました。
つり橋効果的な部分があるかもしれないですね笑

それは確かな恋心かどうか、私にははっきりしません。
カウンセラーや医者に、患者やクライエントが抱く
特別な感情…心配してほしい/受け入れてほしいなど…
「転移」がそこに生まれたようにも思えます。
(キーファからドーラへは「逆転移」といいますが)
それは彼女がもともと家族や近しい誰かに抱いていた思いが
医者と患者という関係の中で、医師であるキーファに
投影されたものだったりする場合があるからです。

彼女が死んでから、幾度目かの満月だったかはわかりませんが
キーファの突然の「吸血鬼としての目覚め」が起きた
満月の夜、二人は再び出会うこととなります。

自分が何者であるかを知らなかったキーファに、
ドーラは真実をあの日に本当は伝えたかったのでしょうが、
できずに余分に長く苦しむことになったキーファを
憐れんだために、彼にキスしたのかもしれません。
そして腐敗に侵されて痛む体の修復を、
彼に求めることとなりました。

二人は死を起点とした愛を、
永遠にわたって築いていくこととなります。
誰かの皮膚を代わりに纏っても、
腐る体の内側で変わらぬ愛は宿ります。
それはひどく依存的で不健康ではありますが、
ドーラはそれでも幸せなのかもしれませんね。

***

ドーラは、ウクライナ語で
「運命」を意味する「dolya」から、
キーファは、スワヒリ語で「死」を意味する
「Kifo」からそれぞれ名前を取っています。




そんな「ネクロマンス」な二人を
引き続きどうぞよろしくお願いします(*´ω`*)

次回更新からはリクエストいただいて、
ホラーなラブリターズをお題に作った
グリモワールちゃんの紹介や、
制作を進めているブローチやネックレスなどの
進行状況の更新になりそうです。

嬉しいお便りや、お迎えなどが続いていて
すり減っていた自信が取り戻せつつあります。
ありがとうございます(*´ω`*)
頑張って制作を続けていきますね!

それではまた★
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